みなさまへ
迫真の映像が、実写ではなくグラフィックデザインで作成されたり、実景が立体映像で撮影できたり、私たちはまさに映像新時代を迎えました。特に、そんな映像と音響で表現される昨今の映画文化の発達には、目を見張るものがあります。
しかしこんな時代だからこそ、いま一度立ち止まって、映画の原点に立ち返ることが大切だと考え、チラシで御案内の企画を提案しました。
伊藤大輔監督は昭和三年に「忠治旅日記」を撮っています。
昭和五十九年に気鋭の映画評論家十五名の投票により日本映画六十年史上のベストワンを選出しましたが、そのとき選ばれたのが「忠次旅日記」でした。
残念ながら一部が散逸していて、現在完全なかたちでこの作品を観ることは出来ません。
この作品の三年後に、同じ伊藤大輔監督・唐沢弘光カメラマン・大河内伝次郎主演の黄金トリオによって撮影されたのが、「御誂治郎吉格子」です。
この作品は現存するほぼ完全な形での、伊藤大輔監督の唯一の無声映画です。
その頃は映画のことを活動写真と言っていました。
そして画面を説明する人を活動弁士と呼んで、彼らは大変な人気者でした。
今回は当時と同じように、活動弁士の生の語りで映画を上映します。
この機会に、八十年まえの小屋(映画館)の雰囲気を充分にお楽しみください。
活動弁士のひさご亭遊花さんは私たち『京文映』会員の嶋田恵子さんです。
嶋田さんは朗読のジャンルで活躍していますが、このたび活動弁士の話芸に挑戦します。
なお、映画と一緒に話芸の世界をも楽しんで頂きたいという私達の意図に賛同されて
講談師旭堂南啓師が、特別に出演して下さいます。
皆さまにはぜひ黎明期の『活動写真』と併せて、このころ聴く機会が少なくなった『講談』と『活弁』ふたつの話芸をたっぷり御堪能下さいますよう右ご案内申しあげます。
ご来場をお待ちしております。
平成二十二年十一月吉日 『京都の文化を映像で記録する会』事務局
